2000年代の日本のポップミュージックシーンを席巻し、「楽園ベイベー」や「熱帯夜」など数々のサマーアンセムを世に送り出したRIP SLYME。軽快なフロウとキャッチーなメロディ、そして何より幼なじみや学生時代の仲間がそのまま大きくなったような“無邪気な連帯感”こそが、彼らが多くのファンに愛された最大の理由でした。
しかし、その眩しい笑顔の裏側で進行していたのは、長年にわたる修復不能な亀裂でした。2018年の突然の活動休止、メンバーの離脱、そして2021年に投下された衝撃の告白によって、かつての“仲良しグループ”の幻想は音を立てて崩れ去ります。なぜ彼らは袂を分かつことになったのか、そして2026年を迎えた今、メンバー同士の関係性はどうなっているのか。長年燻り続ける不仲説の深層を検証します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:PESが告白した「約20年に及ぶいじめや嫌がらせ」が脱退の決定打であり、単なる音楽性の違いではない深刻な人間関係の確執が存在した。
- 要点2:SUの不倫騒動が活動休止の直接的な引き金となったが、水面下ではそれ以前からメンバー間のコミュニケーションが完全に断絶していた。
- 要点3:現在はRYO-Z、ILMARI、DJ FUMIYAの3人体制で活動を継続中だが、PESやSUを含めたオリジナルメンバー5人による再結成の可能性は極めて低い。
【不仲説の真相】PESが明かしたいじめ告白と決定的な確執の内幕
長年囁かれていたグループ内の不協和音が決定的な事実として世間に突きつけられたのは、2021年11月のことでした。MCの1人として独特の高音ラップとメロディアスなフックを担当し、グループの音楽的支柱でもあったPESが、自身の公式サイトおよびSNSで「2017年9月にすでにRIP SLYMEを脱退していた」という事実を公表したのです。
ファンに激震を走らせたのは、脱退の事実そのもの以上に、その背景として明かされた生々しい理由でした。PESは長文の声明のなかで、グループ在籍中の約20年間にわたり、他のメンバーから日常的な嫌がらせや無視、精神的な追い込みを受けていたと告白。「いじめに耐えかねて精神的に限界を迎えた」という趣旨のメッセージは、爽やかでポジティブなイメージを売りにしていたRIP SLYMEのブランドを根底から揺るがしました。
学生時代の先輩・後輩関係からスタートしたメンバー構成だったこともあり、グループ内には外部からは見えない強固な上下関係が存在していたとされています。年齢やキャリアの微妙なパワーバランスが、制作現場やツアーの裏側で歪な圧力となり、特定のメンバーへ長期間にわたって負荷を集中させていた実態が浮き彫りとなりました。
活動休止の原因はSUの不倫騒動だけではなかった?崩壊のプロローグ
公式にグループが動きを止めたのは2018年10月、突如としてオフィシャルサイトが閉鎖され、すべての活動が休止されたタイミングでした。当時、世間が認識していた最大の要因は、2017年4月に週刊誌で報じられたSUの不倫スキャンダルです。
モデルとの不倫密会報道を受け、SUはグループの活動から事実上の離脱を余儀なくされ、RIP SLYMEはペナルティとして大型フェスやCM契約のキャンセルに見舞われました。表向きには「SUの不祥事によって活動継続が困難になったこと」が活動休止の引き金と捉えられていましたが、時系列を精査すると別の真実が見えてきます。
PESが脱退届を提出したのは不倫報道からわずか数か月後の2017年9月。つまり、SUの不祥事以前からグループ内の人間関係はすでに破綻寸前まで冷え切っており、不倫騒動という未曾有の危機に際してもメンバーが団結して支え合うことすらできないほど、信頼関係が消滅していたのです。SUのスキャンダルは崩壊の根本原因ではなく、すでに腐食していた土台にとどめを刺した“最後の引き金”に過ぎませんでした。
インスタライブでの謝罪劇|RYO-ZとILMARIが語った葛藤とすれ違い
PESの告白がSNSで大炎上した直後、沈黙を破ったのは残されたメンバーのRYO-ZとILMARIでした。2人は急遽インスタライブを配信し、神妙な面持ちでカメラの前に立ちました。
配信内で2人は、長年応援してくれたファンに対して騒動を謝罪するとともに、「PESに対して配慮が足りなかったこと」「彼が抱えていた苦痛に寄り添いきれなかったこと」を認め、頭を下げました。しかし、この謝罪配信がかえって火に油を注ぐ結果となります。
配信を見たPESは即座に反応し、「公の場(インスタライブ)でパフォーマンスのように謝罪するのではなく、なぜ直接連絡してこないのか」「話し合いの場を設けてほしいと何度も伝えていたはずだ」と自身のSNSで猛反発。長年のわだかまりは公開謝罪という形式的なアプローチでは一切埋まらず、むしろメンバー間の直接対話が何年も断絶していた決定的な証拠を晒すこととなりました。
3人体制で再始動した現在のRIP SLYME|音楽活動のリアル
深い傷痕を残した泥沼の対立劇を経て、残されたRYO-Z、ILMARI、DJ FUMIYAの3人は、2022年4月に新曲を引っ提げてRIP SLYMEとしての活動を正式に再開させました。
かつての5MC+1DJという変則的な厚みは失われたものの、3人は外部の若手ラッパーやプロデューサーとの積極的なコラボレーションを選択。「どっちでもIN」や「Human Lost」などの楽曲を立て続けにリリースし、全国ツアーや音楽フェスへの出演を精力的に重ねています。年齢を重ねたベテランとしての円熟味と、肩の力を抜いた新しいライブスタイルは、一定の支持を取り戻しつつあります。
一方で、グループを離れた2人の進路は対照的です。PESは自身のレーベルを立ち上げ、ソロアーティストとしての楽曲リリースやCM音楽のプロデュースをマイペースに継続。SUはDJ活動やイベントプロデュース、俳優業への挑戦など、アンダーグラウンドから再起を図っています。2026年現在、両者が3人のRIP SLYMEと交わる気配は一切ありません。
ネットの反応とファンの苦悩|「青春の象徴」が残した爪痕
青春時代を彼らの音楽とともに過ごしたリスナーにとって、一連の内紛劇がもたらしたショックは計り知れないものがありました。ネット上では今なお、複雑な感情が交錯し続けています。
SNS上では、「カラオケでみんなで歌った思い出の曲が、裏でいじめがあったと思うと聴けなくなった」「学生ノリの楽しそうな空気の裏に、陰湿なパワハラがあったのかと思うと背筋が凍る」といった拒絶反応を示す声が少なくありませんでした。親しみやすいキャラクターと仲間意識をアイコンにしていたグループだからこそ、その裏切りとも取れるギャップに対するダメージは甚大でした。
同時に、「大人になれば人間関係が変わるのは当然」「PESがつらい状況を抜け出せてよかった」と個々の決断を受け止める意見や、「3人体制になってもRIP SLYMEの音楽を守り続けてくれていること自体に感謝したい」という前向きなエールも寄せられており、ファンの間でも受容の仕方は大きく分かれています。
5人での再結成はあり得るのか?2026年時点の復帰可能性を検証
多くのファンが淡い期待を抱き続ける「オリジナルメンバー5人での再結成」ですが、その実現可能性は冷徹に見て「ゼロに近い」と言わざるを得ません。
最大の障壁は、PESの断固とした意志です。PESは過去の声明で「二度と戻ることはない」と明言しており、精神的なトラウマを負った古巣に対して明確な決別の意志を示しています。また、権利関係や過去の楽曲のパフォーマンスを巡る問題についても、元メンバー間での対話が円滑に進んでいるとは言い難い状況です。
SUに関してはメンバーとの個人的な繋がりが完全に切れたわけではないと囁かれていますが、PESが不在の状態でSUだけが復帰したとしても、それはファンが望む“完全復活”とは異なります。それぞれが40代半ばから50代を迎えた今、過去の遺恨をすべて清算して手を取り合うシナリオは、極めて非現実的な願望となっています。
【リップスライムの不仲説】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:PESが脱退した決定的な理由は何だったのですか?
A1:PES自身の告白によると、約20年間にわたりグループ内で受けていた嫌がらせや孤立、精神的な圧迫が最大の理由です。音楽性の違いではなく、メンバー間の深刻な人間関係の破綻が脱退の決定打となりました。
Q2:SUの不倫騒動が解散・活動休止のすべてだったのでしょうか?
A2:いいえ。SUの不倫報道は世間に大きな衝撃を与えましたが、その報道の直後にPESが正式に脱退届を提出していたことが判明しています。すでに水面下で崩壊していた関係性に、不祥事が最後のトドメを刺した形です。
Q3:今後、5人で再びステージに立つ可能性はありますか?
A3:2026年現在の状況を総合的に判断すると、5人全員が揃って再結成する可能性は極めて低いと言えます。PESがグループへの復帰を明確に拒否しており、メンバー間の溝は法的手続きや時間の経過をもってしても埋まっていません。
まとめ:今後の展望と注目ポイント
RIP SLYMEを巡る不仲説と分裂劇は、日本のポップミュージック史において「友情を前面に打ち出したグループが直面する最も過酷なリアル」を浮き彫りにしました。若き日のノリや勢いで結成されたコレクティブが、ビジネスの巨大化や年齢の変化に伴い、いかに維持困難なものへと変質していくかを示した象徴的な事例です。
どれほど美しく塗り固められた関係性であっても、歪みを放置し続ければ修復不可能な崩壊を招きます。過去の傷が完全に消えることはありませんが、3人体制として音を鳴らし続けるRIP SLYME、そして自らの表現を追求する元メンバーたちが、それぞれの選んだ道でどのような足跡を残していくのか。2026年以降の各人の活動を静かに見守る必要があります。 (出典: リップ スライム 不仲(Yahoo!ニュース))